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A MACHINEについて

手塚治虫の不朽の名作、「ブラックジャック」の主人公は孤高の天才として描かれていますが、

決してパーフェクトな人物ではなく、時に苦悩し、様々な場面で心が揺れる様が描かれ、実に人間的魅力に溢れています。

 

3年前、オープン前の取引先候補のリストには、何となく気になるものから絶対に取り扱いたいブランドまで、50ブランド以上をピックアップしていました。

そんな中の一つにA MACHINEは確かにあったのですが、オープン時にはお取り扱いのオファーをしなかった、というよりも「出来なかった」という表現がしっくりきます。

 

触ると火傷する、なんて伊達男的なことではないのですが。

当時はオブジェなどと共に、インスタレーション形式でその一部として洋服のプロダクトを発表している、ということ以外、そもそも情報と言える情報もほとんど無く。

そして、僅かな片鱗から垣間見えるプロダクトは、あらゆる物を寄せ付けない雰囲気を醸し出しているように感じました。

 

魅力的なブランドには、すぐにお取扱いのオファーのお声がけをする場合も勿論あるのですが、

一方である種の尊敬と畏怖の同居する感覚というか、近寄り難く自分と一定の距離を感じ、普段触れられないからこそ圧倒される、そんな魅力を感じるブランドもあります。

そう言ったブランドには、自分の心境に大きく変化をもたらすきっかけがないと、素敵だと思いながらもなかなか簡単にはお声がけできない場合もあります。

 

そんなある日、店舗にA MACHINEから展示会のDMが届きました。

巷に溢れるそれとは一線を画すDMそのものの雰囲気も勿論、シーズンテーマ「冷静と情熱の間」を目の当たりにしたとき、ぐいっと「そちら側」に引き込まれた感覚がありました。

神は細部に宿るという言葉がある様に、この決して大きくはないDMに込められた静かだけれど強い意志を十二分に感じ、展示会のアポイントを取ったのを覚えています。

 

僕はA MACHINEというブランドを、まさにブラックジャックのようなブランドだと思っています。

プロダクトからは、デザイナーの孤高のセンスを感じられ、それが時に近寄りがたいのですが、

それらはいろんな感情を纏っていて、実に人間臭い。

皮肉めいたデザインのモチーフや表現も、揺れて見える様も、デザイナーのリアルだと感じます。

 

少し偉そうに言うと、それがこれからどんなふうに変化していくのか、もしくはいかないのかを見届けたい気持ちです。

 

そんな素敵なブランドを春夏からお取扱いをしていたのですが、先日22年秋冬アイテムが入荷しました。

 

当店はシャツとニットからです。

それぞれのアイテムには、勿論素敵なエピソードがございますので、是非店頭でご質問ください。